定山渓ダム(じょうざんけいダム)は、北海道札幌市南区定山渓、一級河川・石狩川水系小樽内川に建設されたダムであります。
国土交通省北海道開発局石狩川開発建設部が管理する特定多目的ダムで、北海道内では高見ダム(静内川)に次いで高い、堤高117.5mの重力式コンクリートダムであります。
豊平川本川の豊平峡ダムと共に札幌市の水がめとして札幌市民の生活を支えています。
ダムによって出現した人造湖はさっぽろ湖と呼ばれています。
地理
ダムが建設された小樽内川は、札幌市内を貫流する石狩川水系の主要な河川・豊平川の支流であります。
小樽市との境を水源としてほぼ南南東に流路を取り、ダム地点を通過した後に定山渓温泉付近を流れ、すぐに豊平川へと合流します。
なお、小樽市にある朝里ダムの人造湖はオタルナイ湖と呼ばれるが、小樽内川ではなく朝里川のダムであります。
左岸:北海道札幌市南区定山渓八区
(石狩支庁)
右岸:北海道札幌市南区定山渓八区
位置 北緯42度59分05秒
東経141度09分27秒
河川 石狩川水系小樽内川
ダム湖 さっぽろ湖
形式 重力式コンクリートダム
ダム諸元
堤高 117.5 m
堤頂長 410.0 m
堤体積 1,185,000 m³
総貯水容量 82,300,000 m³
有効貯水容量 78,600,000 m³
流域面積 104.0 km²
湛水面積 230.0 ha
利用目的 洪水調節・上水道・発電
事業主体 国土交通省北海道開発局
(石狩川開発建設部)
電気事業者 北海道電力
発電所名
(認可出力) 小樽内発電所
(7,000kW)
施工業者 大林組・地崎工業・
佐藤工業
着工年/竣工年 1974年/1989年
概要
「豊平川総合開発事業」の一環として、豊平川本川には1972年(昭和47年)に豊平峡ダムが完成していたが、札幌市はその後も人口が増加し上水道需要と電力需要もこれに比例して増加の一途をたどっていました。
また人口の増加は豊平川の治水安全度を低くすることになり、堤防の建設や川幅拡張が困難になる現状では既存の治水策では限界を生じていました。
北海道開発局はこうした状況に対応する為に新たなる河川総合開発事業を計画しました。
そして定山渓温泉付近で豊平川に合流する小樽内川に特定多目的ダムを建設することを決め、1974年(昭和49年)に「小樽内川総合開発・小樽内ダム建設事業」を計画しました。
だが、小樽市にあるダムと勘違いされるのを避ける為、全国的にネームバリューのある定山渓温泉の間近にある事から「定山渓ダム」に改称しました。
1989年(平成元年)に完成しました。
政令指定都市に高さ100mを超える多目的ダムが2つもある都市は札幌市が唯一であります。
目的は雁来地点における計画高水流量毎秒2,900tを毎秒2,000tへ低減(毎秒900トンの洪水量カット)させる豊平川の洪水調節、札幌市へ日量351,000tを供給する上水道、そして北海道電力・小樽内発電所による水力発電(認可出力: 7,000kW)であります。
定山渓ダムは豊平峡ダムとともに札幌市の水がめとして重要な役割を果たしています。
ダム湖のさっぽろ湖は札幌市民の公募によって命名されました。
支笏洞爺国立公園に指定されている区域にあり、豊平峡ダム・定山渓温泉と共に観光地の一つとなっており、ダム直下には堤体に触れることもできる公園が整備されています。
また、公園内には定山渓ダム資料館も建っており、手動で発電してその発電量が分かる「手動発電装置」などが展示されています。
資料館開館時間中は堤体内の見学も可能であり、「地域に開かれたダム」として札幌市民に開放されています。
ダムより上流を行くと朝里川温泉を経て小樽市内へと至る。