北オホーツク(きたオホーツク)は、北海道の道北、オホーツク海側の北部地域を指す地域名称であります。
主に、北から稚内市(オホーツク海側)、猿払村、浜頓別町、枝幸町が該当します。
枝幸、浜頓別、猿払の各町村にわたって、総面積3927ヘクタールの北オホーツク道立自然公園(きた-どうりつしぜんこうえん)が指定されており、湖沼、湿地、原生花園などの自然が守られています。
地理
北オホーツクは、亜寒帯に属する北海道の、その北東部に位置し、オホーツク海側に面した厳しい風土の地域であります。
明治以降、入植、開拓が行われるも、湿地帯が広がる痩せた土地、寒冷な気候は稲作、畑作等には適さず、離農者が相次いでいます。
こうした事情から、集落らしい集落は各町内の漁港近くや枝幸町中心部に見られる程度であり、大部分は荒涼とした原野、牧草地、湿地、沼などであります。
冬季、1月中旬から下旬ころには、オホーツク海沿岸に流氷が到来し、おおむね3月待つ頃の海明けまで、海岸に接岸したり近海に去ったりを繰り返しながら、沿岸を覆います。
流氷の時期、とくに接岸して水面が完全に隠れるようになると、氷原の様相を呈し、大陸的な気候となって陸地部分の気温も一段と下がることとなります。
その荒涼とした海岸(北オホーツク海岸)は、日本の秘境100選に選ばれています。
自然
北オホーツクには、ほぼ自然のままの沼や原生花園が残ります。
浜頓別町には白鳥の飛来するクッチャロ湖、猿払原野には浅茅野湿地、モケウニ沼、カムイト沼などがあります。
一帯は低層湿原や中間湿原の様相で、ヒオウギアヤメ、ワタスゲなど確認できます。
なかでも猿払原野は、日本の重要湿地500に選定されています。
浜頓別のクッチャロ湖は、コハクチョウの越冬地として著名であります。
流氷の季節には特別天然記念物であるオジロワシ、オオワシなどが越冬のために飛来します。
魚類は、天然のイトウが生息しています。
北オホーツク道立自然公園
北オホーツク道立自然公園は、北オホーツク地域の湖沼(クッチャロ湖、カムイト沼、モケウニ沼等)やエサヌカ原生花園、ベニヤ原生花園などの自然植物群落などがあります。
花の季節、とくに6月から8月には、猿払村のエサヌカ原生花園では、ハマナス、エゾスカシユリなどの高山性植物が咲きます。
エサヌカ原生花園の群落では、150種類以上の高山性・北方性植物を見ることができます。
原生花園以外でも、各所で高山性の植物が咲いているのが見られます。
また、比較的単調な海岸線が続く北オホーツクにあって、険しい海岸線をみせる北見神威岬(枝幸町)やウスタイベ千畳岩(枝幸町)などの奇景も含まれています。
北海道による指定は1968年です。
観光
浜頓別〜猿払間のサイクリングロード。
猿払村浅茅野、飛行場前駅跡。
1993年。当地域にはパッケージツアー等で来訪する観光客などを大規模に集客できる観光資源は等はほとんどなく、湿地や原生花園などの観光資源もあるが観光客向けの開発整備はされていないです。
反面、整備されていない、もしくくは大規模に開発されていない景観や自然を楽しむことは可能であります。
流氷の接岸する時期は、流氷に覆われ表現となった海の茫漠とした景観自体が観光資源であり、沿岸の国道238号を観光バスが走ることもあります。
1980年代末までは、北オホーツクの枝幸〜浜鬼士別間には、国鉄興浜北線、天北線があり、オホーツク海を車窓から楽しむことができたが、現在は鉄道は廃止されています。
流氷は観光資源にもなり、集客力のある網走市、ウトロ、紋別などで砕氷船や流氷に親しむアウトドアメニューが提供されているが、観光地としての集客力を持つ都市のない北オホーツクでは、一般観光客向けのアクティビティはほとんど提供されていないです。
北オホーツクでは、流氷以外の自然景観も観光資源であります。
おおむねなだらかな海岸線を形成している北オホーツクにあって、枝幸町の北見神威岬付近は山塊が海岸線に迫る険しい地形となっており、斜内山道といわれる高みからオホーツク海を見渡すことができます。
国道は岬部分を北オホーツクトンネルで通過するが、トンネル出入り口わきに海岸線に沿った旧国道があり、旧国道沿いの公園からオホーツク海を見渡すことが可能であります。
また、付近にはウスタイベ千畳岩と呼ばれる奇勝があります。
花の季節には、エサヌカ原生花園、ベニヤ原生花園などで高山植物の群落が花を咲かせ観光客らの目を楽しませます。
浜頓別のクッチャロ湖は、静謐な景色とともに、冬季コハクチョウの越冬地として著名であります。
また、湖畔にははまとんべつ温泉ウィング、浜頓別サイクリングターミナルが設置されています。
この浜頓別から猿払村にかけては、旧国鉄天北線の線路跡がサイクリングロードに転用されており、花の季節には道路脇の花々を楽しみながら走れせます。
サイクリングロード沿道や近隣にはカムイト沼、モケウニ沼などがあり、沼や湿地帯をめぐることもでき、また、道路脇の飛行場前駅跡や鉄道標識など、天北線の遺構を見ることもできます。
交通アクセス
国道238号が主要道路であります。
鉄道はなく、公共交通は宗谷バスが担う。このバスは、かつての国鉄天北線及び興浜北線の代替バスであります。
天北線は、かつては旭川から稚内に向かう宗谷本線として建設された鉄道で、中川郡音威子府村の宗谷本線音威子府駅から浜頓別町の浜頓別駅へ出て海岸北上し、猿払からは内陸の沼川駅を通って南稚内駅に至っていたが、1989年に廃止され、線路跡は一部がサイクリング道路となっています。
また、浜頓別・枝幸間には、かつて国鉄興浜北線があったが、これも廃止され、並行する国道238号線に代替バス(宗谷バス)が設定されました。
鉄道時代や、北オホーツクトンネルが開通する前は、北見神威岬を回る斜内山道が風景を楽しむポイントとなっていたが、鉄道は1985年に廃止され、国道には1999年には北オホーツクトンネルが開通し斜内山道下を貫いています。
斜内山道から北は浅瀬・岩礁があり、船舶交通の障碍となっています。
1939年(昭和14年)12月には、カムチャツカ半島マガダンより樺太東沖を通り宗谷海峡経由でウラジオストックに向かっていたソ連の船舶インディギルカ号が嵐にもまれて猿払村沖トド岩で座礁、折からの嵐と酷寒の海に飲まれた乗船者700名以上が死亡する事故が発生しました。