現在はメロン栽培(夕張メロン)を中心とした農業と、精密機械や食品加工業、石炭の歴史や映画などをテーマにした観光産業からなるが、観光産業は市に巨額の負担を強いており、その上市財政の悪化が表面化し、先行きは極めて厳しい状態にあります。
これから何か、活性化することが出来る企業の参入などがあると夕張市も少しでも復興が早まると思います。
がんばってほしいですね。
北海道も、第2の夕張が出てこないように考えてほしいですね。
夕張市が財政難に陥った経緯は、かつて夕張は炭鉱の街として栄えたが、「石炭から石油へ」のエネルギー政策転換により、次々と炭鉱が閉山されていきました。
1990年には最後の三菱南大夕張炭鉱が閉山し夕張から炭鉱がなくなりました。
これにより、炭鉱会社が設置した鉱員向けのインフラを市が買収します。
1982年、北炭が所有していた夕張炭鉱病院を市立病院移管に対して夕張市は40億円を負担しています。
さらに北炭は、夕張新炭鉱での事故を理由に、鉱山税61億円を未払いのまま撤退しました(倒産で払えなくなったとも)。
また、北炭・三菱は炭鉱住宅5000戸(市営住宅に転換)や上下水道設備などを夕張市に買収してもらい、額は151億円に達しました。
結果「炭鉱閉山処理対策費」は総額583億円に達しました。
市は、中田鉄治元市長時代に石炭産業の撤退と市勢の悪化に対し、「炭鉱から観光へ」とテーマパーク、スキー場の開設、映画祭などのイベントの開催、企業誘致により地域経済の再生、若年層を中心とする人口流出の抑止、雇用創生などを図ったが振るわず、逆に過大な投資や放漫な経営が累積赤字として重くのしかかり、市の財政を圧迫していました。
産炭地域振興臨時措置法(以下、産炭法)が2001年に失効したことなどで、財政状況がさらに悪化、その後ほぼ破綻(はたん)状態にあったことが表面化し、2006年6月20日に後藤健二前市長が定例市議会の冒頭で、財政再建団体の申請を総務省にする考えを表明しました。
この時点では、2006年度決算を以て申請し2007年度から財政再建団体になる予定でありまいした。
一時借入金などの活用により表面上は財政黒字となる手法をとったため、負債がふくれあがっていきまいした。
一時借入金残高は12金融機関から292億円、企業会計を含む地方債残高が187億円、公営企業と第三セクターへの債務・損失補償が120億円とされ、夕張市の標準財政規模(44億円)を大きく上回っていたため、一般的に10年とされる再建期間は、未知数でありました。
また、市長の表明後、「空知産炭地域総合発展基金」から14億円の借り入れをしていることが明らかになりまいした(「ヤミ起債」問題・以下参照)など、違法起債等の粉飾まがいの決算がここ何年も行われていた疑いがあり、北海道が調査に乗り出し、既に2006年度決算で再建団体適用状態であったことが判明しました。
これを受け、市長は2006年7月25日に2006年度中の財政再建団体を申請する方針を表明しました。
道は同年8月1日に夕張市の財政状況の調査に関する「経過報告」を公表しました。
道は、再建期間短縮等の観点から、赤字額の360億円を年0.5%の低利で融資(市場金利との差額は道が負担)、国も地方交付税交付金などによる支援を打ち出しました。
これらの動きにより、再建期間は18年間の見込みとなりまいした。
財政再建団体指定は、1992年の福岡県赤池町(現福智町)以来、北海道では1972年の福島町以来、市では1977年の三重県上野市(現伊賀市)以来となります。
なお、当時の後藤市長は、北海道新聞(2007年4月17日)の取材に対して、2006年6月10日に同紙に巨額負債を報じられる以前の2月に総務省に特別交付税の陳情に行った際に財政再建団体を覚悟したと語っています。
予定では2007年度に再建計画を策定する予定であったが、同紙報道により前倒しとなりまいした。
再建計画が遅れれば、負債額はさらに膨らんでいた可能性があったことも示唆しています。
「ヤミ起債」問題については、
産炭法の失効により、同法に沿って行われていた地方交付税の手厚い分配がなくなり、地方債への依存度が高まりまいした。
そもそも地方債発行には都道府県知事の許可が必要だったが(2006年4月からは、財政難の自治体を除き、国と地方自治体が事前協議したうえ、地方自治体の判断により発行する制度に移行)、夕張市など6市町(他に歌志内市、赤平市、三笠市、上砂川町、芦別市)は限度額に近い金額を起債して極端な財政危機に陥った。
そこで、「空知産炭地域総合発展基金」など各種基金や、銀行・信用金庫など金融機関からの借り入れという形をとって急場をしのいだと言われています。
こうしたスキームは本来、一時的に税収が不足したときや、会計制度上財政が逼迫(ひっぱく)しやすい会計年度末に少額・短期間採られることは多い常套(じょうとう)的手段ではあるが、6市町は税収不足の補填(ほてん)や融資自体の返済のために借り換えに借り換えを重ね、債務は累積し、いわゆる自転車操業状態にいたりました。
さらに、北海道拓殖銀行の破綻と道内不況が追い討ちをかけました。
なお、「ヤミ起債」問題については道の関与も疑われているが、同様の問題を抱えた産炭地域自治体も多く、北海道に限った問題ではないです。
産炭地など鉱山地帯が終掘後自治体として維持された成功例は、日立グループが旧炭鉱労働者の大部を吸収した常磐炭田・大雄院鉱山地域など、世界的にも極めて稀(まれ)であります。
夕張の財政再建計画
「映画祭」は中止、職員給与削減は2006年9月から実施することとなり、市長は50%(月収862,000円→431,000円)、助役は40%、教育長は25%、一般職員も15%カットとなり、4億200万円の削減となりました。
2007年4月からは、さらに削減し、市長75%(月収259,000円、年収374万円)、助役70%(月収249,000円)、教育長66%(月収239,000円)、常勤監査委員も229,000円など、徹底した削減がなされ、市長の給与は全国最低となる。市議会議員の人数も18人から9人に半減、議員報酬も311,000円から180,000円に削減されました。
更には新規職員採用凍結や早期退職勧告により職員数も削減を予定しています。
早期退職希望者が130人を超え、定年と自己都合を合わせ、全職員の約半数の152人が2006年度末で退職しました。
これは当初の削減計画の人数にほぼ合致している一方、急な退職で市政の滞り等が心配されているが、市は、この早期退職により、人員削減計画の前倒しとするとしています。
なお、早期退職者は、役職者が約7割を占め、部長・次長職は全員辞める。今年度末の退職者の内訳は部長職12人全員、次長職11人全員、課長職は32人中29人、主幹職は12人中9人、係長・主査職は76人中45人、一般職が166人中46人となっています。
また、市が保有する観光施設31施設の内29施設を運営委託、売却、廃止する方針も明らかになったが、道内観光大手の加森観光を中心に委託・売却先がほぼ決定しました。
市民負担も大きくなり、市民税が個人均等割3000円から3500円に、固定資産税が1.4%から1.45%に、軽自動車税が現行税率の1.5倍に増額、入湯税150円も新設されました。
また、ごみ処理は一律有料化、施設使用料も5割増、下水道使用料が10m3あたり1470円から2440円に値上げ、保育料は3年間据え置くが、その後7年間で段階的に国の基準にまで引き上げられます。
敬老パスは廃止予定だったが、個人負担額を200円から300円に引き上げて存続されることとなりました。
公共施設に関しては、多くの施設が廃止されることになっていたが、世論の反発などもあり、見直され、小学校の1校統合は再検討(中学校は清水沢中学校に統合)、全廃予定だった7ヶ所の公衆トイレのうち、清水沢と沼ノ沢を存続、南部コミュニティセンターは、使用料引き上げ、町内会などによる管理運営を条件に存続、スイミングセンターは夏季限定で営業します。
図書館は、蔵書を保健福祉センターに移設し(貸し出しは継続)、廃止となりました。
タグ:夕張市